松本・信毎メディアガーデンで開催されたトークイベントに参加してきました!
10月23日開催された自身も理事を務める一般社団法人ソマミチの初のトークイベントに参加し、松本にて湘南でのカラマツの施工事例をKIBARIの家を通じて紹介してきました。
今回は一人バイクでひとっ飛び。圏央道のおかげで近いものです。帰りはビーナスラインで濃霧にハマってさあ大変・・・でしたw
地元松本ではカラマツこそは慣れ親しんでいるものの、使い方・使われ方にはまだそれほど広まっておらず、ここ湘南で住宅の建材として幅広く使われていることに皆さま驚かれていました。そしてこれだけカラマツを中心にした業界のメンバーが一同に集まるということで注目度も高かったようです。
文責:ソマミチ事務局
令和元年10月23日(水)、晴れやかなる清秋の候、信濃毎日新聞社の社屋ビル(信毎メディアガーデン)の大ホールにて初のトークイベントを開催いたしました。平日の18時~20時というお忙しい中に約120名もの皆様のご来場をいただきましたこと、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
当日は、メンバーが伐採・製材・設計・製作した製品をはじめ、メンバーが連携した住宅施工事例やソマミチの活動紹介パネルなどを展示し、皆様をお出迎えさせていただきました。製品はライフスタイルのイメージを喚起できるよう、ナチュラルな素材感を活かしたクラフト系、カラマツの特性を生かしたデザイン系の2種類の展示エリア構成にしました。
まずは、原代表よりご挨拶です。
【原薫】
皆さまこんばんは。
平日の夜にも関わらず、たくさんの皆様にお越しいただきましてありがとうございます。私たちソマミチメンバー、各メンバー同士に関しては、ずいぶん昔から連携してきた経緯があり、ソマミチ結成の種は蒔かれていたのですが、その芽が出たのが2013年。最初は「信州落葉松プロジェクト」という任意団体として発足し、カラマツやアカマツの地域材の利用促進、地域の森林での体験ツアー、東京ビッグサイトや銀座長野などでのPRなど、様々な取り組みを重ねてきました。
そして2017年の12月、およそ2年前に一般社団法人ソマミチとしてスタートを切りました。ソマミチは、その名前のとおり「ソマのミチから、始める暮らし」というのを理念に掲げて、人間の都合で自然をコントロールするような時代から、自然に寄り添う、抗わない、そんな暮らしを提案していこうと様々な活動に取り組んでいます。
そして「木をつかう社会の仕組みをつくる」というキーワードをもとに、メンバーでビジョンを描き、今日お配りしているパンフレットにも載っている「こんな社会になったらいいな」という未来をフューチャーマップに描き、そこを目指して活動しています。
これまではインターネットを中心とした発信をしてきたのですが、そろそろ松本の皆様に私たちのことを知っていただくことができるかなということで、この度、信毎メディアガーデンをお借りして、この企画を実施させていただく運びとなりました。私たちがやりたいことは、もちろん「木をつかう」ということで地域資源の木をつかっていただきたいということではあるのですが、その根本は「地域づくり」「まちづくり」です。
今日は、皆さんと松本の未来を共有したいなと考えておりますので、2時間という限られた時間ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
Talk01「世界に発信する観光資源としての松本」
ゲスト1人目は、株式会社明神館代表取締役の齊藤 忠政様。地元の木材を使って宿泊施設のデザインを手がけた前田理事とのトークを中心に、メンバー理事とのトークセッション。エントランスのインテリア、シャワールームやベッドルームなどにカラマツを利用した事例から、話を展開しました。
齊藤様が、なぜ、地域の木を使ったのか、地域の材を使う「おもてなし」とは何かについて、お話をいただきました。
「農業のほうでは地産地消というけれど、私達は旅館業として、農家さんと250軒のお付き合いがあって、地元のものを使っているのですが、リニューアルにあたって、考えたのが、建築建材は地元のものはないのかと。かつては、諏訪の石を使ったりしてみたが、やはり、地元といえば木ですし、里山もあるし、たまたまソマミチの前田君が学校の後輩だっというのもあり、地域材で何かできないか!?とお願いしたんですね。彼とは価値観も近く、また、よく彼から話を聞いていたというのもあって、ぜひカラマツで作ろうと、任せました。宿泊される方は、県外からくるお客様が多いので、やはり、何かがなければうちを選んでくれない。何かの必然性をもってお客さまがお越しいただいているわけで、この信州、この松本、この山辺に泊まっているんだという必然性ですね。それが、マチのエネルギーであったり、そこに、本物をつたえなければと思ったんですね。」
リニューアルの後、お客様などに「どうすれば、この家具、インテリアが手に入るの?」という声もいただいていており、好評とのこと。カラマツのソリや欠点などもその特性であるとプラスを見出し、木の個性を生かしながら整えていくということは制作・施工する際、また利用者に理解していただくのに苦労するところですが、そこも「大丈夫」だと齊藤氏に応援をいただきました。外国人観光客、インバウンド需要が増えている中、物見遊山ではなく本質的な観光、地域にあるもの、地域の暮らしそのままを、どう世界に発信していくか、松本の皆様で、ぜひ一緒に頑張りましょうと、力強いお言葉をいただきました。
続いてのゲストは、村山人形店の村山 謙介様。talk02「地元のカラマツを使って、魅力あるお店づくり」と題し、同じく店舗のデザインを手がけた前田理事とのトークを中心に進みました。
「店舗を改装したのは4年前です。私たちは、節句人形を製作販売をしております。松本らしい店づくりをしたいなと考えていました。松本らしいというときにキーワードが2つあって、1つは、漆喰の壁。あとは、この地域にはカラマツが生えているので、その落葉松を使いたいな、この2つをもって、お店をつくりたいなと思って、やりました。」実はもともと改装をする前、継ぐことになった店舗の改装をご自分でやってみたこともあるそうです。今回、カラマツで改装したことへの想いを語っていただきました。
「実は、商いが季節商売的(節句人形店なので3月がメイン)ですので、しっかりした什器を作らないものなんです。しかし、今回は、わざと小口を見せて、木を見せたというのがよい。これは、松本市の波田(はた)にある若沢寺(にゃくたくじ)の近くの木なのですが、波田の方たちが60年前に植えたんですね。林友ハウス工業さんが良い木だから取っておいたというものが、めぐりめぐって、私のところにやってきて使うことができたということだったので、自分でも大事にしたいなと思ったんですね。
さきほど古川さんに『改装して何が変わったか』と聞かれたんですが、私たちの商売は、毎回くるお客さんがいるわけじゃないんです。だからお客様が、何度もカラマツの棚を見てくれるってことはなくて。ただ、何が変わったかといえば、自分のモチベーションが変わったというか、きれいな店づくり、環境というか、地元の人たちが大切に育ててくれたものを、僕がさらにそれをよく使いたいなとか、
落葉松の人形台とか、ちょっとソリもするんですが、ただ、色が、どんどんあめ色に代わって経年変化が良い雰囲気になって、お子さんと一緒に成長できるのかなと思ったりします。いわゆる、ネガティブな部分をポジティブに変えていけるんじゃないかなと思えています。」
Talk02 「そんなカラマツって、そもそも、何だろう!?」
林業に従事し約20年。香山理事から、カラマツの分布や特性についてのレクチャー。
地質学、気候区分のお話をしたうえで、なぜ松本が特徴的か、このエリアがいかにカラマツに適しているか、そして植林から木の利用方法まで考えた「やまづくり」のお話をいたしました。3分レクチャーということで、短い時間でしたが「非常に勉強になった」という声をいただけたレクチャータイムでした。とはいえ、香山理事の知見と考察は3分では伝えきれるものでは到底ありません。一緒に森に入り、木々を見て、土質をみながら、香山レクを受けるとまた一層感動が増し、物語性と必然性が生まれ得ます。香山理事のレクチャーがより一層生きる、ソマミチツアーにぜひ皆様お越しください。
また、製材の竹腰理事からも、扱いが難しいと一般に言われているカラマツの加工技術について解説させていただきました。地元の木を使って家を作るという産業がを弱くなっていることに問題提起をし、再生可能な資源がこの近くにあるのに使えていないという実情を変えてきたいという熱意で10年、ソマミチメンバーと検討を重ね、皆からのアドバイスを受けながら加工力を強化して、森林県である長野県の資源を活かそうと今日まで来ている、そしてソマミチメンバーとの取り組みで、今後の可能性を感じていることをお話しさせていただきました。
さて、ここで、その落葉松の料理人である2人の設計者の話へと移ります。
Talk03 「地元の木で暮らす魅力」
設計の宮坂理事からは、松本市内で着工されたカラマツを利用した施工事例の写真を見ながら、設計のポイントをひとつずつ説明。いろいろな形の外壁で使う事例だけでなく、骨太なカラマツをうまく設計に取り入れた幅広のフローリングなども紹介。お施主様のご要望に応じて設計することもあれば、自分が熱く語ることによって「カラマツがいい!」と、いままで興味がなかったお客様が興味を持ってくださったという逸話も紹介しました。
プロポーザル受注をされ、またソマミチメンバーが各種関わった長野県南相木村の村営住宅の事例も紹介。松本市だけでなく長野県の多くの地域での、このカラマツを活かした顔が見える関係の地域ビジネスの可能性をお伝えいたしました。
talk05「松本の山を知る。遊ぶ」
ソマミチ理事でイベント企画と実施を主に担う堀越理事よりこれまで実施してきたイベントをご紹介しました。
ソマミチには大きく2種類のイベントがあります。1つは「森に入るプログラム」、もう1つは「森の恵みを学びプログラム」。「森に入るプログラム」親子向けのプログラムであるキッズディ、森でお昼ご飯を食べるシェアフォレストランチ 、雪山をスノーシューで歩くツアー、バイクランチさんとマウンテンバイクで山を走るイベント等を紹介。「森の恵みを学ぶプログラム」ツキノワグマの熊脂とニホンミツバチの蜜蝋でクリームづくり、シカ肉のジビエソーセージづくり、チェーンソーの基礎を学ぶチェーンソーワークショップ等を紹介しました。 たくさんの写真から、楽しい様子を感じていただけたのではないでしょうか。
参加者代表 ソマミチ会員で名古屋在住の久野 奈穂子様にご登壇いただき、お話を伺いました。久野様は木造住宅の設計士もされています。
古川:「初めて、参加の印象はいかがでしたか?」
久野:「いつも息子と一緒に来ているのですが、私以上に彼にいろいろなことを感じてもらいたいなと思っています。私ももちろん感じたいと思っていますが、それ以上に。初めて参加したときの印象は、確か、雨で寒かったんですよね。なのにグリーンウッドワークに息子が夢中になっちゃって。寒い中に作業していたのですが嬉々としていて、その姿が忘れられず、何度もソマミチのイベントに参加しています。」
古川:「松本ってどんなイメージの都市でしょうか?」
久野:「松本は白馬や木島平等へスキーに行くときの玄関口としてのイメージで、親近感があったことも、ソマミチに参加したきっかけとしてあります。パソコンばかりの仕事の中で、木造設計の仕事をしていながら素材と触れ合う機会がなかなかなかったので、ソマミチのツアーはとてもありがたいです。」
古川:「マチの人だからの、悦びとはなんでしょう?」
久野:「イベントでは息子が薪割りにはまっているんですが、やりだすとはまってしまう。私もそうですが、ストレス発散もでき、その作業に没頭できるのが楽しくて。(自分が住む)名古屋の都市部で薪ストーブは使えず、(もし使ったら煙で)クレームの嵐になるので、憧れがありますね。」
古川:「先ほど湘南の山本理事が言っていたように、松本が第二の故郷のようなものでしょうか?!」
久野:「そうですね、息子も、とてもソマミチのメンバーの皆様を慕っています。名古屋から松本まで2時間半から3時間、日帰りもできる。この松本の魅力をもっと、自分の友達にも発信できたらなと常々思っております。」
まさに、松本ファン、信州ファンをひとりずつふやし、顔が見える関係でるからこそ、裏切られない。抗わず、美しく、自然と向き合うライフスタイルを実直にすすめていく。最後に、原代表のクロージングトークです。
もう皆さんお腹いっぱいですよね(笑)
簡単に締めのご挨拶をさせていただきます。今日ご紹介させていただいた事例、ほとんどが松本の風景です。ここにあるもので、こんな素敵な山づくり、素敵な地域づくりができるんですね。そして、まだ木を伐ることが自然破壊と言われてしまうこともありますが、適切な自然の利活用というものは、災害が多くなっている現在、それを軽減してくれます。
大難を小難に、小難を無難に、無難を無事に、生きることができるようなそんな日本だからこそ、皆さんと一緒に地元の資源を利活用していきたいなと思っています。それだけでなく、もっともっと皆さんと楽しく山で遊べればいいなと思っていますし、ゲストの齊藤さんのおっしゃるように、世界に発信できる魅力ある松本を皆さんと一緒につくっていきたいと思っています。ですので、多くの方の参画を呼び掛けて、本日は終わりにさせていただきたいと思います。長時間に渡り、ありがとうございました。
次回のイベントは、11月30日(日)、
普段は閉鎖エリアになっている松本市入山辺の県民の森をソマミチメンバーの案内とともに散策するソマミチツアー2019です。
詳細は後日アップしますが、ぜひfacebookでもソマミチの活動をフォローして、ツアーにお越しください!
ソマミチfacebookページ https://www.facebook.com/somamichi/
湘南・横浜エリアの信州カラマツのファンをどんどんつくっていきたいと思います。
次回は山で、お待ちしています。